シルクロードの旅が終わってからしばらく旅はいいやなんて思っていたのに、気がつけば身体が異国の風の匂いを求めて疼き出し、世界地図の行ったこともない町の名前が僕を呼び始めた。ああ、これじゃ中毒性の病だ。地図と財布とカレンダーと相談した結果、アンコール・ワットを目指してみようと思った。どの旅人も手放しで賞賛するクメール王朝の遺跡。
　2002年のＧＷ明けにバンコクからアンコール・ワットに向かったが、遺跡のことばかり頭にあってその後の旅程については具体的に考えていなかったため、ほとんど行き当たりばったりになった。結果的に、3週間の旅程で、カンボジアをくるりと回り、ラオスの北部とタイ北部をたどるような「インドシナの旅」となったのだ。